【本の要約】伝わる文章を書く技術
『伝わる文章を書く技術』(印南敦史 著、株式会社KADOKAWA)の著者は、ウェブメディア「ライフハッカー」で人気の書評家です。
驚くべきは年間250冊の本を読み、それと同じ数の書評を書いているということ。
ブログ筆者も印南氏の書評を読んだことがあるが、長年にわたり支持される理由は、伝えることにふりきった文章を造っているからだと感じます。
この本のターゲットは日常の業務のなかで「書かざるを得ない」状況に置かれている人、つまりすべてのビジネスパーソンです。
短い時間のなかで「どのように本を読み、どのように文章を書くのか」が書かれた名著を要約していきたいと思います。
プロ書評家が教える読書術と時間術
まず、ビジネスジャンルにおける本には「読み込むべき本」と「流し読みでいい本」があるといいます。
この分類は「まえがき」と「目次」で判断しましょう。「まえがき」にはその本のエッセンスが凝縮されていて、「目次」にはどんなことが書かれているのかがチェックできます。
ここを読み、「きちんと読み込まないと、内容が把握できない」つまり「その本のテーマに至るまでの流れを汲まないと筆者の主張が伝わらない」というタイプの本は、「読み込むべき本」です。
「要点がまとまっている」つまり「必要な部分を短時間で抜き取れる」というタイプの本は「流し読みでいい本」です。
読む本が「流し読みでいい本」に分類されたら、効率的に斜め読みをしましょう。
大切なのは「伝えること」
読み手の視点に立つ
自分の書いた文書を読んでもらうためには、「読み手の視点に立つ」ことを意識しましょう。
まず、「誰が読むのか」「誰に読んでほしいのか」をはっきりと意識しましょう。
「読み手は誰か」を見極めたら、その読み手は「なにを求めているか」を考えましょう。
たとえば「ライフハッカー」の書評の場合、求められているものは「ライフハックしている」か否かです。
「ライフハック」とは「生活に役立つ」という意味で、読み手に「ちょっと役立ちそう」な情報の提供を目指しています。
「なにを求めているか」を考えて設定したら、読み手に「おもしろそうだな」と期待をいだかせます。
そのためには「刺さる」なにか、たとえば「タイトル」で惹きつけて、「読んでみたい」と思わせましょう。
大切なのは「伝えること」
文書を書くときは「表現する」のではなく、「伝える」ことを意識しましょう。
伝えるための文章表現として大切なのは、この3点に尽きます。
- 冷静さ
- 客観性
- わかりやすさ
1. 冷静さ
たとえばニュースサイトなどの場合、記事の目的は「伝えるべき事実を事実として伝える」ことです。
感情に流されるまま熱く書かれた文章となると、恥ずかしいものになってしまします。
2. 客観性
冷静さと共通する部分もありますが、「主観的」にならずに「ふかん的」な視点を持ちましょう。
3. わかりやすさ
本当にいい文章とは、平易なことばを使った、読みやすく、理解しやすいものです。
STEP3でも触れます。
「読ませる」文章の書き方
「読ませる」文章の書き方は、 この5つです。
- まずは余計なことを考えず、勢いで全部書いてしまう
- 書いてみてから修正する
- 一文に対してテンはひとつにする
- 柔らかな文体でわかりやすく書く
- 削ぎ落とせるところまで削ぎ落とす の5つである。
1. まずは余計なことを考えず、勢いで全部書いてしまう
「他人が読んだらどう感じるだろうか」という客観的な視点が大事なことはSTEP2で取り上げました。しかし、文章を書く前にそれを意識してしまうと、頭でっかちになって書けなくなってしまうことが多いです。
そのためまずは、余計なことを考えず、勢いで全部書いてしまいます。
2. 書いてみてから修正する
勢いで全部書いた文章を読み直すときにはじめて、「他人が読んだらどう感じるだろうか」という視点を持ってみてはどうでしょうか。と印南氏はいいます。
3. 一文に対してテンはひとつにする
「テンとマル」には、文章の内容を整理して、いくつかに分ける効果があります。
文章に締まりがないと感じたときには、思い切って分けることをおすすめします。
印南氏は一文に対してテンひとつが理想的だといいます。
4. 柔らかな文体でわかりやすく書く
伝わりやすい文章を書くにあたって意識すべき最大のポイントは「簡潔さ」です。
簡潔な文とは、「頭がよさそうに見せること」ではなく、「柔らかな文体でわかりやすく書くこと」です。
5. 削ぎ落とせるところまで削ぎ落とす
「簡潔さ」にも通じることですが、コテコテに盛り込むのはいちばん簡単。
しかし、盛り込めば盛り込むほど焦点がぼけて品もなくなり、魅力は失われていくものです。
そういう意味で、削ぎ落とせるところまで削ぎ落としたほうが、文章は美しくなります。
まとめ
紙上の文章もウェブ上の文章も、大事なのは「伝える」こと
なにより重要なのは、紙でもインターネットでも、「伝える」文章を書くことです。特にインターネット、SNS、メールは書きたいことを無責任に「書きっぱなし」にしがちですが、「それを読んだ人がどう感じるか」「伝えたいことが本当に伝わるか」などをしっかりと考慮しましょう。